ネイチャーテクノロジーを活用して、『痛くない注射針』の開発をしている青柳誠司さん
夢の扉プラス、今回は、ネイチャーテクノロジーを活用して『痛くない注射針』の開発をしている関西大学教授の青柳誠司さんを取り上げています。
ネイチャーテクノロジーとは、自然や生き物の持つ優れた機能に学び、科学技術や産業にそれを応用しようという試みです。
ちなみに、生物がお手本のネイチャーテクノロジーには、カワセミのくちばしがお手本の、500系新幹線の先頭車両や、
カタツムリをヒントに作った汚れを抑える外壁材、
ハコフグをモデルにした空気抵抗を抑え車内空間を最大限にするバイオニック・カーなどがあります。
青柳教授が『痛くない注射針』を開発するにあたって参考にしているのが『蚊』です。
「蚊に刺されても痛くないのはなぜか?」
この疑問から痛みが少ない注射針の開発につなげるため、蚊の吸血メカニズムを研究しています。
蚊の吸血メカニズを知るには実際に蚊が血を吸っている様子(針の動き)を捉えなければいけませんが、吸血中の蚊の決定的瞬間を捉えるのは本当に難しい。
ホウ砂と砂糖水を混ぜてスライムという人工皮膚を作り、加えてそのスライムを人肌まで温めることによってやっと吸血中の蚊の決定的瞬間を捉えることが出来ました。
蚊が吸血している映像を見ると、大きな特徴が2つありました。
まず、蚊は三本の針を連動させて吸血していること。一本の針ではなく、三本の針で最小限の穴を掘り進めていました。
さらに針の形状はノコギリのようにギザギザしていること。
普通、ギザギザしていると痛みが増すと思いがちですが、そうではなく、ギザギザだと皮膚に当たる面積が少ないため痛みの軽減につながるようです。
青柳教授、「針」の専門会社(株)ライトニックスの社長の協力のもと痛くない注射針の研究を開始します。
研究のために2人はKINCHO大日本除虫菊(豊中市)へ赴き研究用の蚊を手に入れます。
そして、痛みを可能な限り低減した樹脂の針で、ランセット(穿刺針)の『ピンニックスライト』を開発。
針の素材は生分解性ポリマー(ポリ乳酸)です。
『ピンニックスライト』は、ワクチン投与、血糖値やコレステロール値を測定するための採血にも使用でき、現在2万個が医療現場へ納入されています。
青柳教授の次の目標は、0.1ミリの針に穴を貫通させて、注射針と同じように液体を吸入させること。
この課題をクリアして本当の『痛くない注射針』が実現するのもそう遠くないかもしれません。
| 病院・医療